如来さまより最も遠い身が 実は最も近い身でありました
とある予備校講師さんは「志望校さえ決まれば自分がどれだけ馬鹿か分かってくる、でも後は簡単に合格できる」と常々言っているそうです。受験生を勇気づけるために言っているのではなく、本当にそう思っているそうです。その先生曰く「目標が決まれば、合格までどれほど学力が必要かも分かるし、また自分の立ち位置も分かる。そして何より勉強をするやる気がグングン出てくる」と言った具合です。よく似た話は中国の孫子の名言「彼を知り己を知れば百戦殆(あやう)からず」にも出てきます。どんな戦であっても、敵と自分をしっかりと理解していれば負けることはないという内容です。今月の法語ですが「如来さまより最も遠い身が 実は最も近い身でありました」です。浄土真宗にそれほど縁がない方でも、「悪人正機説」という言葉は一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。この「悪人正機説」という言葉は中学校の歴史の教科書でも親鸞聖人の説明で出てきます。これは悪人でも救われる、ということではなく、悪人こそが救われることを意味しています。ここで最初の予備校の先生のお話に戻れば、志望校を決めることは「阿弥陀様のお力で極楽に生まれたい」と決めること、そして合格のために勉強することはお念仏することであり、お聴聞することです。そして、自身のレベルを自覚することが自分を悪人、凡夫であると理解することなのでしょう。親鸞聖人も「凡夫はすなわちわれらなり」と残されました。私達は自身がまずは悪人だと理解することが何よりのスタートになるのでしょう。