煩悩を断ぜずして涅槃を得るなり  如来誓願の薬はよく智愚の毒を滅するなり

1月、2月の法語カレンダー

煩悩と言えば、代表的なものが三毒(どく)の煩悩で、貪欲(どんよく)と瞋恚(しんい)と愚痴(ぐち)であります。親鸞聖人のお言葉では、「欲も多く、怒り腹立ち、そねみ、ねたむ」心であり、その心が私を煩(わずら)わせ悩(なや)ませるのです。つまり、苦しみの原因が煩悩なのです。
それに対して、涅槃は、苦しみを滅した安らぎの境地でありますから、煩悩を断ち切ることなく涅槃の境地を得るということはどういうことなのでしょうか。
それに答えたものが、「如来誓願(せいがん)の薬(くすり)は、よく智愚(ちぐ)の毒(どく)を滅するなり」であります。「如来誓願の薬」とは、阿弥陀如来さまの「摂取不捨(せつしゆふしや)」の誓願のことであります。煩悩を抱(かか)えた私をこそ必ず救うと言われているのであります。その誓願が煩悩いっぱいの私に届くとき、「智愚の毒」、つまり、うぬぼれたり落ち込んだりする私に、こんな私を見捨てることのないお心だったと、申し訳ない思いで安堵(あんど)させていただけるのでした。
お念仏者であった九篠武子さんの「いだかれてありとも知らずおろかにも われ反抗す大いなるみ手に」の歌を思い出しました。

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