私の上にあるものは 全部賜うたものである(2021年法語カレンダー3月)
私の上にあるものは 全部賜うたものである
賜るという言葉を私達が最も多く使うのは敬語として使う場合ではないでしょうか。例えば「貴重な物を賜ります」といった具合で、目上の人から何かを貰った時に使う言葉です。東京にある上野公園の本当の名前は「上野恩賜公園」で、もともとは宮内庁が所有していた領地を一般の人でも利用できるように整備した公園です。なので天皇陛下が日本国民のために土地を提供してくれたという意味合いで恩賜という名前が付いているのです。
今月の法語は「私の上にあるものは 全部賜うたものである」です。漢字の意味からすれば今の私を構成するすべてのものは目上の人に貰ったものである、という意味合いになるのではないでしょうか。ではその目上の人とはだれのことでしょうか。それをじっくり考えてみるのが今月の法語のテーマと思いました。一つの考え方では、この目上の人は阿弥陀様と考えられます。私達の全ては阿弥陀様からいただいたものというのも確かでしょう。また、ひとつの考えとして、自分以外のすべての人、もの、事柄であるとも考えられます。
自利利他円満して
帰命方便巧荘厳
こころもことばもたえたれば
不可思議尊を帰命せよ
というご和讃を親鸞聖人は残されて下さっています。このご和讃の中に自利利他円満という言葉が出てきます。この自利と利他をとても簡単に言うと自利というのは、自分が得なこと、メリットのあること、利他は相手や他人にとってメリットのあることになります。大切なことはこの自利と利他の2つは必ずしも裏表ではないということです。先のご和讃でも自利、利他の双方が円満であるの大切さが説かれているのではないでしょうか。有名な話ですが近江商人の人たちが大切にされていた「三方良し」の考え方に通じるものがあります。近江の商人さんは商売のするときに「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の気持ちを大切にして、そのお陰で成功できたと言われています。その当時の近江の商人さんたちはまさに「私の上にあるものは 全部賜うたものである」の気持ちを持っていたのではないでしょうか。
